『2001年宇宙の旅』でカットされた17分間のフィルムを公開しないとワーナーが声明

「オリオン号のドッキングシーンが見た〜い!」

カットされたシーンではもっとも有名な、フロイド博士が月面生活を視察するシーン。ここにはキューブリックの二人の娘(長女カタリーナ、次女アンヤ)が出演している。

“The additional footage from 2001: A Space Odyssey has always existed in the Warner vaults. When [director Stanley] Kubrick trimmed the 17 minutes from 2001 after the NY premiere, he made it clear the shortened version was his final edit. The film is as he wanted it to be presented and preserved and Warner Home Video has no plans to expand or revise Mr. Kubrick’s vision.”

 「ワーナーは『2001年宇宙の旅』の追加フッテージを保管庫に収蔵してきました。スタンリー・キューブリックがNYプレミアのあと『2001年…』から17分をカットしたとき、キューブリックは短縮版が最終版であることを表明しました。ワーナーホームビデオは、キューブリックの見解を追加したり修正したりする予定はありません」と語った。

(全文はリンク先へ:BbloomsMag/2017年10月10日)

 以前ここで記事にした「カンザス州の保管庫で見つかった」フィルムはワーナーが保管していて、それを公開するつもりはないとワーナーが声明を出したようです。

 キューブリックが制作したキービジュアルを改悪したパッケージを平気でリリースするくせに、こういうところでは律儀にキューブリックの遺志を守ろうとするワーナーには違和感を感じますが、「商売的に一番効果的なタイミングを狙っているだけじゃないの?」と穿った見方もできなくもないですね。「幻の17分間(ファンには19分間として知られていた)のフィルムが見つかった」というニュースが流れたのは2010年の年末でしたが、7年も経ってのプレスリリースには唐突さも感じます。

 そろそろ4K版BDの発売も考えられますし、ワーナーの声明も本編に追加する形じゃなく、特典映像としてリリースする可能性は否定していないように感じます。そうなると嬉しいことは嬉しいですが、この「今になって」の声明発表は「特典映像としての価値がどれほどあるかの観測気球」として発せられたのだとしたら「ワーナーさん商売上手っすね」の一言でも言いたくなりますね。

◆カットされたシーンは以下の通り。

・「人類の夜明け」で猿人たちがモノリスに反応するシークエンスの短縮

・オリオン号のドッキングの過程と宇宙ステーションのフッテージ

ハロッズメーシーでフロイドがお土産にブッシュベビーを買うシーン

・クラビウス基地の人工池でスケッチをしている子供たちのシーン

ディスカバリー号での宇宙飛行士の運動シーンの短縮

・ボーマンがAE35ユニットを倉庫から取り出すシーン

・プールがスペースポッドで離船するシーンのカットとプールの呼吸音の短縮

・HALがプールを殺害する前に無線を切るシーン

・「月を見るもの」が骨を道具として使う方法を思いついた際の、一秒間のモノリスのフラシュバックが「追加」された

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