トランプの本気、習近平の誤算 ( その他政界と政治活動 )

ランプの本気、習近平の誤算

 

坊主の言う嘘を「方便」といい、

商人の嘘は「商才」と言い換えられる。

政治家の嘘も、時として「政略」として許されるが、

「政略」は、その目的に「国益」がなければならない。

 

「嘘」が社会の潤滑油となり、許容されるのが人間社会であるが・・・

 

「本気」が表れることが稀にある。

その時に喧嘩がおき、

国家と国家の間に戦争が勃発する。

 

米中貿易戦争、中国にとっての「誤算」は―仏メディア

Record china:2018年9月26日(水)

 

2018年9月25日、仏国際放送局RFIの中国語サイトは、米中の貿易戦争が中国にとってどれほど意外なものだったかについて論じる記事を掲載した。

 

〇 中国共産党内で、習近平の国家戦略の誤りが論じられている。

経済成長の成果に 驕り「中華民族の夢」など覇権獲得の意思を露にし「一帯一路」で覇権獲得の実行動を起こしたことについてである。

また記事は「米中貿易戦争」と規定しているが、それも間違いである。

米国は中国企業等に対し既に金融制裁を科している。米中の対立は貿易に止まらず経済のあらゆる面で衝突が顕在化しておりこれは「全面的な経済戦争」の様相を見せている。

米トランプ政権は24日、第3弾となる2000億ドル(約22兆3000億円)相当の対中製品関税を発動。これに対し中国政府も約600億ドル(約6兆7000億円)の報復関税を発動した。

 

〇 米中貿易の問題点は、米国の対中輸出(2000億ドル台)に対し、中国の対米輸出(5000億ドル台)が大幅に上回っている結果、「米国の対中貿易赤字」が許容範囲を超えたために起こった。

さらに、中国の対米貿易で生み出される「利益」が、中国軍の軍事増強に使われる実態に米国の怒りの根源がある。

つまり中国は米国の対中国製品に課する関税に対する報復は限界があるということである。先の自民党総裁選同様「勝敗の帰趨は見えている」

記事は「中国はそろばんをはじき間違えた。トランプ氏が大統領に就任した当初、中国政府はかつてないほど楽観視し、民間でも『トランプファン』が大量に出現した。実際、トランプ氏は大統領選期間中から中国の大きな譲歩がなければ対中貿易戦争は不可避と警告してきたにもかかわらず、中国政府はこの警告を聞き流した」と指摘している。

 

〇 中国の製造業は、外国の資本、外国の技術で発展してきた。

中国に流入する資金は主に米国資本であり、技術は主に日本のものであった。

従って、米中経済摩擦は中国のみならず、米国資本家、日本企業に少なからず打撃を与える。ゆえにトランプ大統領の警告も「警告に止まる」と中国政府当局は楽観視していたのだろう。

しかし、真剣勝負にあっては「肉を切らせて骨を切る」が常道である。

そして、中国政府系メディアが「米中貿易戦争により、わが国は、米国がこれほどまでに信用できない、米国がこれほどまでに道理をわきまえない、米国がこれほどまでにごねる、という3つの『想定外』に遭遇した」と報じたことについて、「まさかトランプ氏が本当に発言通り中国に重税を課し、しかも一歩ずつ着実に進めて来るとは思ってもいなかったのだろう。彼は、前任者が決心できなかったことを本当にやったのだ」と論じた。

 

〇 記事の指摘はすべて中国に当てはまる。

「これほどまでに信用できない」とは、

WTOに加入しながら、WTOが定める基準を満たす努力を全くなしていない中国にこそ当てはまる。

「これほどまでに道理をわきまえない」とは、

中国国内で大手を振って流通する「コピー商品」が中国と交流を深める国々にまで広がっている実態が示している。

「これほどまでにごねる」については、

米中経済戦争の激化を呼び込んでいる中国にこそ当てはまる指摘である。

また、中国政府系メディアが「米国は信じられない」としたことに対し、仏紙ル・モンドが「トランプ氏の対中批判の大部分は的を射ている。2001年のWTO加入以降、中国は約束したような市場国にならず、国有企業が依然として経済を支え、重要な分野には国が大量の補助を与えるとともに、知財権を遵守しなかった」と指摘し、むしろ中国の方が信用できないとの見方を示したことを紹介している。

 

〇 現代の国際社会は「自由」を最高の価値としている。

自由を制限する独裁国家が存在することが例外であるといえる。

日米の企業等は、「自由を制約する独裁中国」に目を瞑り、「安価な労働力を提供する中国」を許容してきた。

しかし、中国が経済成長に思い上がり「覇権主義」を露にしたことによって、国際社会は本来の「独裁を否定する姿勢」に戻ったということである。

自由で民主的な国「台湾」に対する中国の武力侵攻を拒否し「台湾を守る」という意思を米国は革めて露にしている。

そして、「2代目のブッシュ大統領からオバマ大統領まで、米国の歴代大統領は中国による為替操作、知財権の侵害、対中赤字といった点で中国と論戦を展開し、改善を希望してきたが、いずれもうやむやにされた。そういう意味では、トランプ氏による貿易戦争の発動は言いがかりとは言い難い」としている。

 

〇 米国の対中投資に関し、ブッシュJrやクリントン夫妻が深くかかわっていたことは周知のことである。

つまり、トランプ以前の歴代大統領は中国企業と利害関係が一致していたということであり、中国に対する「貿易不均衡是正の論戦」は、米国内の有権者向けのアナウンスに過ぎなかった。

然し、中国と利害関係を持たない、中国のマネートラップに陥らない、富豪であるトランプは、国内向けのアナウンス「選挙公約」を実行に移したということだ。

知米派の文化人は、キューバ危機で「ケネディーは本気でソ連に対抗した」如く、

「トランプも本気で、中国に対峙している」と喝破している。