上場企業の監査は必要悪だと開き直ってみる

上場企業の監査は必要悪だと開き直ってみる

2018年9月23日付の日本経済新聞では、欧米で粉飾決算の見落としが相次ぎ、「企業決算にお墨付きを与える会計監査の世界大手『ビッグ4』に再び批判が高まっている」とありました。

【資料1】日本経済新聞2018年9月23日直接のきっかけが建設2位カリリオン社の破綻だ。公共サービスに民間資金を生かす「PFI」発祥の地で、病院や道路などを多く手掛ける大手。それが突如、15億ポンド(約2300億円)の負債を抱え清算されたとあって、批判の矛先がKPMGの監査に向かった。

上記【資料1】にあるPFIについては、次の記事を参照。

【資料2】日本経済新聞『きょうのことば』2018年1月4日PFI―公共施設、民間が整備・運営公共施設の整備や運営を民間が担う手法。英語の「Private Finance Initiative」の略。インフラの建設や運営に民間の資金やアイデアを生かし、低コストで質の高い運営を促すしくみ。

監査を担う側にも弁明の余地があります。

上記【資料1】記事の中段で述べられているように、監査は、企業の決算書を担保するプロセスにすぎないからです。

【資料3】日本経済新聞2018年9月23日投資家は会社の不正を見抜けというが、監査とは決算書類が適正に作られている確認を行う作業であり、万能ではないとの主張だ。

監査制度の最大の弱点は、上記にいう「担保」にあります。

すなわち、監査というのは、後から取って付けた担保物だということ。

対応が常に、後手に回る。

殺人事件が一通り起きた後に真犯人を探り当てる、金田一耕助みたいなものだといえるでしょう。

解決策を見出すとしたら、事件が起きる前に、どれだけの予防線を張れるか、にあるといえます。

いわゆる「予防監査」。

こいつがまた難しい。

【資料4】日本経済新聞2018年9月23日成長率の高い好況時には企業がその前提の下、設備投資やM&A(合併・買収)を実行。監査する側も足元の延長線上で妥当であれば問題視しにくい。

しかし、問題視する目線に「理論上の瑕疵」があった場合は、どうなのか。

瑕疵があるから、上記【資料1】にあるとおり「突如」として現われるのさ。

本ブログでは次の関連記事などで再三、企業が策定する設備投資計画やM&A計画には「理論上の瑕疵」があるぞ、と警告を発してきました。

【資料5:関連記事】M&Aで巨額の減損損失が突如として表面化する理由

M&Aの半数で売却損や減損を余儀なくされる理由

外資コンサルティングファームを人差し指一本で投げ飛ばす

M&Aなどの投資の採算性を検討するにあたっては、DCF(Discounted Cash Flow)やROIC(Return on Invested Capital)などがあります。

これらは「とびとびの複利計算」であり、通年では単利計算構造で企業活動を問題視しているにとどまる。

それに対し、現実の企業活動は、次の受賞論文で指摘しているように、「日々無限に連鎖する複利計算構造」を有しています。

【資料6】新日本法規財団 奨励賞 受賞論文『会計学原価計算の革新を目指して』(PDF32枚)執筆者(受賞者)公認会計士 高田直芳日本公認会計士協会 研究大会 発表論文『管理会計原価計算の革新を目指して』(PDF12枚)執筆者(発表者)公認会計士 高田直芳

無限連鎖の複利計算構造を内蔵する企業活動を、年に1回(四半期であれば年に4回)の単利計算構造で解析して予防線を張ろうというのでは、結果が見えている。

【資料7】日本経済新聞2018年9月23日実際には常にバブルがはじけ、資産価格が下がり「時価」へと修正を迫られる。その繰り返しだ。

DCF、NPV、ROICなどには「理論上の瑕疵」がある。

それに気づかないから、同じ過ちを何度も繰り返す。

その愚かさに、いい加減、気づいたらどうなのか。

打つ手がないのなら、いっそ「監査は必要悪だ」と開き直ってみてはどうだろう。

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制作著作 高 田 直 芳税理士 公認会計士

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